流産でも産休はもらえる!知らないと損な産休取得とお金の話

流産でも産休はもらえる!知らないと損な産休取得とお金の話

死産…。赤ちゃんができてこれ以上にない幸せを感じている女性にとって、とても耐え難い出来事です。「男の子かな〜♪女の子かな〜♪」「生まれたらここに行こうね^^」なんて話していた矢先の死産はとても残酷です。わかります。なぜなら私も経験をしたからです。この世の終わりかのような絶望を感じ、順調に赤ちゃんが育っている他のママを羨ましがり…精神的にもとても脆く崩壊寸前。そんな中で、とても助かったのが産休制度でした。死産の場合は産休が取れないと思っている方が多いようでしたので、参考になればと思い今回は死産の場合の産休やその時にもらえるお金の話について書いていこうと思います。産休取得については、婦人科の先生やスタッフの方も知らないことが多いので、自分自身で産休取得の対象になるかなど確認しましょう^^

1死産でも産休は取れるのか?

(1)そもそも産休とは?

産前産後休暇があり、出産をするためのお休みのことを指します。
労働基準法第65条において、
産前は6週間
産後は8週間
を休業期間と定めています。

ここで言う出産とは、妊娠12週(85日)を超えて出産した場合が、出産として認められるようです。
生きているかどうかということは関係ありません。元気な赤ちゃんを産んだとしても、心臓が止まってしまった赤ちゃんを産んだとしても、どちらも立派な出産です。

(2)産前休暇とは?

出産予定日を含め、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)前から取ることができます。出産予定日はあくまで予定ですので、仮に出産がずれた場合は、もちろんそれに応じて産前休暇も変動します。早く生まれれば少なくなりますし、遅くなればその分多くなります。ただし、本人の希望があれば出産日まで働くことが可能です。

(3)産後休暇とは?

出産の翌日から8週間取ることができます。これは、申請すれば取ることができるのではなく、「この期間を経過しない女性労働者を働かせてはいけない」と労働基準法で決められています。法律で守られているので安心ですね^^
ただし、産後6週間を経過した女性本人が自ら働きたいと申し出た場合においては、お医者さんと相談した上で問題なければ、働くことが可能です。
ここで重要なのは、産後6週間は、本人が希望しても働かせることは禁止されています。言わば、強制休暇ですね。違反した場合は、6ヶ月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科せられます。(雇用側)

(4)12週(85日)から産休が認められる

出産とは、「妊娠4ヶ月(週数で言うと12週、日にちで言うと85日)以上経過した場合の分娩」を指し、4ヶ月以降の死産、人工流産も含みます。産休は、就業規則とは全く関係のないもので、誰でも取得することが可能です。厳密に言うと、自分が数えてではなく、医師が最終確定した週数で決まります。なので、「前の生理から数えると13週超えてるけど…大きさ的に11週程度なので11週だね」と言うこともあり得ます。なので、医師から宣言された週数によって産休が取れるかどうかが決まります。

2出産育児一時金

(1)出産育児一時金とは?

健康保険または、国民健康保険に加入している、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産した場合に支給されるお金です。こちらは、病院によって違いがありますが、「直接支払い制度」が利用できる場合は、病院が直接健康保険へ請求する形になりますので、受給者は不足分を退院時に支払うか、一時金内で収まった場合は、差額を後から健康保険に申請して返還してもらうことができます。直接支払制度を取り入れていない病院の場合は、一旦全額支払いをして、後から健康保険に申請してお金をもらう形になります。

(2)支給される金額

出産育児一時金は、基本的には42万円(2017年現在)が支給されますが、妊娠22週未満の後期流産や死産、また、分娩する病院が産科医療補償制度に加入していない場合においては40.4万円の支給になります。多胎の場合は支給額×人数分になります。申請後から約2週間〜2ヶ月ほどで支払われます。

産科医療補償制度とは?

「産科医療補償制度」は公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する、医療機関が加入する補償制度(保険)です。
生まれた赤ちゃんが、出産時の事故で脳性麻痺になり、身体障害者手帳1、2級に相当する場合、補償金が支払われる制度です。
補償金額は、一時金として600万円、子どもが20歳になるまで毎年120万円が支払われるので総額3,000万円となります。
この補償制度の掛け金が、1分娩あたり16,000円で、出産費用に上乗せして病院から請求されます。
ですので、産科医療保障制度に加入していない病院は、掛け金がないため40.4万円となり、産科医療保障制度に加入している病院は、掛け金を足した42万円が支給されます。

(3)出産費貸付制度

後から支給なんて困る!なんて場合は、安心してください。
全国健康保険協会では出産に必要な費用を、出産育児一時金が支給されるまでの間、無利子で貸してくれる制度があります。
貸付金額は、1万円を単位として、出産育児一時金支給見込額の80%相当額が限度額とされます。
対象者は、協会けんぽの被保険者又は被扶養者で、出産育児一時金の支給が見込まれる方のうち、①出産予定日まで1ヶ月以内の方②妊娠4ヶ月(85日)以上の方で、病院・産院等に一時的な支払いを要する方。とされています。



3出産手当金

産前産後休の間、事業主(会社)から報酬がもらえない場合は、出産手当金が支給されます。給料が出なくても安心して休養できるように設けられた制度です。

(1)出産手当金が受けられる期間

出産日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)からさかのぼって42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間について支給されます。ただし、休んだ期間にかかる分として、出産手当金の額より多い報酬が支給される場合は、出産手当金は支給されません。

(2)出産が予定より遅れた場合

予定日よりおくれて出産した場合は支給期間が、出産予定日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日後56日の範囲内となっていますので、実際に出産した日までの期間も支給されることになります。たとえば、実際の出産が予定より4日おくれたという場合は、その4日分についても出産手当金が支給されます。

(3)支給される金額

休んだ期間についての給与の支払いがあってもその給与の日額が、出産手当金の日額より少ない場合は、出産手当金と給与の差額が支給されます。

1日当たりの金額
【支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
(支給開始日とは、一番最初に出産手当金が支給された日のことです)

(4)いつ支給されるのか

出産手当金は、産休後に申請をしますので、出産日から数えると2ヶ月半〜4ヶ月後くらいに支給されます。少し余裕を持っていないと結構大変です。余裕を〜と言っても、死産等の予測していなかった早期出産については、正直間に合わなかったということもありますよね。出産までにはこれくらい余裕ができてる…という計算すら狂ってしまいます。

4高額療養費制度

(1)高額医療費が返ってくるかも?

医療機関等の窓口での支払いが高額な負担となった場合、あとから申請することで、自己負担限度額を超えた額が払い戻される「高額療養費制度」というものがあります。また、70歳未満の方が「限度額適用認定証」を保険証と併せて医療機関等の窓口に提示すると、1ヵ月 (1日から月末まで)の窓口での支払いが自己負担限度額までとなります。

(2)自己負担限度額

所得区分

自己負担限度額

多数該当(※1)

標準報酬月額83万円以上

報酬月額81万円以上

252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 140,100円
標準報酬月額53〜79万円

報酬月額51万5千円以上~81万円未満

 

167,400円+(総医療費-558,000円)×1%

93,000円
標準報酬月額28万円~50万円

報酬月額27万円以上~51万5千円未満

80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円
標準報酬月額26万円以下

報酬月額27万円未満

57,600円 44,400円
低所得者

被保険者が市区町村民税の非課税者等

35,400円 24,600円

※1 多数該当とは、1年間で高額医療費として払い戻しを受けた月数が3月以上あった時は、4月目から自己負担限度額が引き下がります。
(注:こちらは協会けんぽを参考としていますので、各保険によって金額は異なる場合があります。)

(3)出産は実費なのでは?

出産は基本的には実費なのですが、死産等で入院した場合、一部保険適用とされることがあります。
私の場合、看護師さんに限度額認定証を使えるか聞いてみたところ「今回は保険適用外なので…」と言われたものの、会計時に領収書を見ると「保険適用分〇〇円」と書かれていたので再度会計係の方に確認したところ、「使えますよ」と。心の中で「なんだそれ。危ねー」と思いつつ(笑)急な入院だったので、後日、健康保険高額医療費支給申請書を提出し、過払い分を払い戻してもらうことになりました。こちらは、申請から支払いまで4ヶ月ほどかかってしまうので、結構大変です。会計窓口で認定証を提示すると、その場で限度額のみの請求になりますので、できれば退院までには用意できると楽だと思います。

(4)保険適応分を全額負担している可能性がある

今回、私は保険適応分が20万円ほど含まれていたので、保険協会に高額医療費の申請をしていました。
ところが、待てど暮らせど入金されません。。。
しびれを切らして問い合わせてみたら、「これ全額自己負担で支払ってますよね?保険証を出せなかった理由とかってありますか?」と聞かれ
「そもそも病院側も自己負担なのでと言うことで保険証の提示を求められませんでした…(そいや出してないわとここで気づく)」
そうなると、保険適応した際20万だと自己負担額は6万円になるので、高額医療費の対象外(私の場合)になってしまいます。高額医療費とは別で医療費申請書と言うのがあるのでお送りしましょうか?」
と親切に教えていただいたので、別で申請することになりました…。
これってどういうことかと言うと、高額医療費=保険適応しても高額になった場合、限度額までしか支払わなくていいよ〜というものです。
今回、私の場合はまだ保険を適応する前の金額で申請していたので、まずは保険を適用して過払い分を払い戻しをしてもらってね!というものでした。
早く電話しとけばよかった。と後悔( ;∀;)
意外と、病院の人も出産に関しては、「全額実費負担」と思い込んでいる方が多いので、しっかりと自分で領収書などを見て確認する必要があります。
ぶっちゃけ、保険協会の窓口ですら担当によって言うことが変わることがあるので、何人かに聞いてみるのが一番いいと思います。
マジで損しますよ〜(T ^ T)

5ハッピーマザー助成金(渋谷区限定)

(1)ハッピーマザー助成金とは?

こちらは、渋谷区限定の助成金なのですが、妊娠12週を超えて(85日以上)出産し、出産日の3か月前から申請日現在まで継続して区内に住民登録があり、健康保険に加入している人を対象に、1人につき限度額100,000円を支給するというものです。ただし、加入している健康保険から付加給付(出産育児一時金に加えて独自に健康保険から給付するお金)が支給される場合は、その額を控除した金額になります。

(2)申請期間

出産日から1年以内

(3)いつ支払われる?

申請日の翌月末までに指定の銀行口座に振り込まれます。
私は渋谷区だったので、とても助かりました(^ ^)♪

6まとめ

死産や流産はとてもツライ経験ですよね。なかなか精神的にも肉体的にも落ち着かない日が続くと思います。産休について社内で理解しているという人はとても少ないと思いますが、しっかりと法の下で守られています^^無理をせず、次の機会に向けてゆっくり体と心を戻して復帰できるように、しっかりとお休みさせてもらいましょうね。